大人の必要な睡眠時間が7~8時間と言われる理由

私は、睡眠関連の本を20冊以上読んでいます。読んだ本に関しては、本ブログの「睡眠の本紹介」を、ご覧下さい。得た知識を元に、自分なりの睡眠についての考えを書いていきます。

今回は、睡眠に必要な時間は何時間か?という事についてです。私個人の見解としては、「7~8時間寝る必要がある」と思います。

必要な睡眠時間は、個人差があるという話もありますが、大半の方は7~8時間は必要と考えます。

睡眠の基本

睡眠は、4ステージに分かれます。大きく分けると、「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の2つですが、ノンレム睡眠は、さらに3つのステージに分けられます。このステージ分けは、脳波で決まるそうです。

レム睡眠時は、「α波」

ノンレム睡眠時は、ステージ1が「振幅の小さな脳波」、ステージ2が「紡錘波」、ステージ3が「デルタ波」

睡眠は、これらのステージが周期的にやってきます。前半は、ノンレム睡眠が多くなり、後半はレム睡眠が多くなるというのが一般的だそうです。

これらの睡眠ステージは、1周期が90~120分と言われています。これは、個人差があるそうです。そのため、合計の睡眠時間が必ずしも90の倍数になるとは限らないということになります。だから、6時間で起きなきゃダメだ!とか、7時間30分に起きなきゃダメだ!ということにはなりまえせん。

レム睡眠について

レムとは、「急速眼球運動」のことを言います。寝ている時に、眼球が小刻みに動いていることからつけられたそうです。身体は寝ていても、脳は起きている状態です。(金縛りは、この状態らしいです。目だけ開けれるけど、身体が動かないのは、まさに金縛りですね)

レム睡眠時、記憶の整理が行われます。記憶の整理が行われることで、創造性が向上します。脳の中で新たな神経回路が繋がることで、前日には思いつかなかった事が、次の日には思いつくという仕組みです。

創造性の向上以外でも、問題解決能力を高めたい時は、レム睡眠が必須です。例えば、その日に上手くいかなかった事(自転車に乗ることであったり、ピアノを弾くことなど)が、翌日になると、上手くできるようになることがあります。これは、レム睡眠の効果です。思うように行かない作業は、翌日にしてしまうと、上手くいくかもしれません。

前述しましたが、レム睡眠は、睡眠の後半になるにつれて多くなります。つまり、6時間前後で起きてしまうと、レム睡眠の時間が十分にとれない可能性があります。

以上のことから、問題解決能力、想像力を十分に得たいという方は、6時間以上の睡眠が必要です。

ノンレム睡眠について

「ノンレム睡眠」は、脳も身体も寝ている状態です。この時、脳の中では、掃除が行われます。脳は、全体の20%近いエネルギーを消費すると言われています。エネルギーを作り出すということは、ゴミが出ます。このゴミが脳の中にたまると大変なことになります。ゴミはしっかり出さないといけません。しかし、ゴミの排出は、起きている間は、ほとんどできないそうです。ゴミの排出ができるのは、ノンレム睡眠の時と言われいます。脳のゴミの中に、アミロイドBというものがあります。これは、アルツハイマー型認知症の原因の1つと言われています。つまり、ノンレム睡眠が少ないと、脳の中に、どんどんゴミが溜まっていってしまうことになります。将来、認知症にならないためにも、ノンレム睡眠は、しっかりとる必要があります。

深いノンレム睡眠を多くとるほど、学業成績が良くなるという研究結果もあります。病気の予防だけでなく、日々の生活にも良い影響を与える可能性が高いです。

以上のことから、ノンレム睡眠も多くとれるように、睡眠の質を高める必要があります。

短時間睡眠は可能か?

短時間睡眠(ショートステイ)が可能かどうかは、遺伝によるらしいです。10万人に4人ほどは、短時間睡眠が可能らしいです。宝くじを思い浮かべて頂ければ分かると思いますが、自分が該当者という可能性は極めて低いです。特異遺伝の持ち主だという可能性は捨てて、しっかりと睡眠をとるほうが賢明だと思います。

特異な遺伝でなかったとしても、後天的にショートスリーパーになれる!という意見もありますが、基本的に科学的な根拠はありません。将来、病気になり、後悔しないためにも、しっかり睡眠をとったほうが良いと思います。

ちなみに、人間の短時間睡眠の限界は、4時間半と言われています。それ以上睡眠時間を削ると、命に関わってくるので、必ず4時間半以上は睡眠を確保して下さい。

6時間睡眠では足りない?

最初の4時間さえしっかり寝れれば、多少少なくなっても大丈夫という意見があります。もちろん、最初の4時間は大切なのですが、だからと言って、6時間未満でも大丈夫という話ではありません。というのも、6時間睡眠が10日ほど続くと、1日徹夜した状態になるそうです。徹夜した事がある方は分かると思いますが、朝のうちは、元気なのですが、次第にパフォーマンスが落ちてきます(これは、体内時計の関係があります)。明確に「徹夜した」という認識があればいいのですが、6時間睡眠を続けている人は、「徹夜した」ということを認識していません。知らないうちに、パフォーマンスが下がってしまいます。

また、睡眠不足になると、アルコールを飲んだ状態と同じになると言われています。これもアルコールを飲んだ状態と、睡眠不足の状態で、車の運転を行った研究があります。酒気帯び運転と寝不足運転では、同じように事故の確率が高くなるそうです。寝不足の時は、車の運転を避けるべきです。先ほど、6時間睡眠を続けると、1日徹夜した状態になると書きました。つまり、6時間睡眠を続けていると、酒気帯び運転している状態と同じになります。

以上のことから、6時間睡眠では足りないので、それ以上の睡眠をとったほうが良いと思います。

寝だめは可能か?

平日は6時間睡眠だけど、休日は寝だめしているから大丈夫という人がいるかもしれません。実は、寝だめでは不十分な可能性が高いです。これは、「睡眠負債」という言葉が使われています。いわゆる、睡眠の借金です。この借金は、返すのが大変と言われています。具体的な数字を上げると、40分の睡眠負債を返すのに、3週間かかると言われています。とても、1日2日で返せるものではないことが分かると思います。

また、平日と休日の睡眠時間が異なると、1人時差ボケを起こします。これは、体内時計が関係してきます。体内時計が1日で修正できるのは、1時間ほどらしいです。つまり、休日の寝だめは1時間以内にしないと、自宅にいるのに、海外旅行をしているのと同じ状態になります。そのため、休日明けの最初は、かなり辛い思いをします。体内時計について詳しく知りたいという方は、本ブログの「体内時計を管理してパフォーマンスを最大化」を、ご覧下さい。

以上のことから、極力、休日は寝だめ行為を行わず、毎日規則正しい睡眠時間を確保することが望ましいです。

マイクロスリープが寝不足のサイン

瞬間的な居眠りのことを「マイクロスリープ」といいます。授業で集中して話を聞いていたつもりが、少しぼーっとしていて聞き逃したという経験はありませんか?これがマイクロスリープです。睡眠不足になると、このマイクロスリープが頻発します。脳が、睡眠を欲しているのです。つまり、脳からのSOSサインです。車の事故で、よく「ボーっとしていたら、ぶつかった」という発言をニュースで聞くこともあると思います。これは、マイクロスリープが原因と思われます。仕事中のミスが多くなったりすることもあります。

以上のことから、日中、マイクロスリープが多いと感じている方は、事故防止のために、すぐに睡眠を見直した方が良いと思います。

合計で7時間以上寝ればいいのか?

夜にあまり寝られないから、日中昼寝をして睡眠時間を確保しているという方もいると思います。仮眠(約20分ほど)は、身体に良いと言われていますが、それ以上は身体に負担をかけます。特に、1時間以上の昼寝は認知症や糖尿病のリスクを高めるという研究もあります。また、日中に細切れの睡眠をとると、夜間の睡眠の質が低下します。睡眠の質の低下というと、ノンレム睡眠が減るということなので、どちらにしても認知症のリスクが高くなります。

以上のことから、細切れの睡眠は改善したほうが良いです。できるだけ、まとまった睡眠時間をとったほうが良いと思います。

8時間以上の睡眠は必要か?

長時間睡眠をとる方(ロングスリーパー)もみえますが、これも遺伝的なものと思われます。8時間以上の睡眠が、科学的に良いとされる研究は、今のところないようです。考えられる理由としては、血流です。寝ている時間は、体内の血液の流れが悪くなります。血流が悪い時間が長時間続けば、身体に影響が出てくる可能性がある。ということで、長時間睡眠は、逆効果である可能性が高いという説があります。

そもそも睡眠をとることで、睡眠物質であるアデノシンが減るので、無理やり寝ようと思っても寝られないと思います。

以上のことから、睡眠時間を無理矢理8時間以上とる必要はないと考えます。8時間以上でも、起きた時にすっきりしていれば、それが、あなたの適切な睡眠時間であったと言えます。

まとめ

以上の事から、睡眠時間は、レム睡眠とノンレム睡眠がしっかりとることができる、7~8時間必要であるということになります。

記憶力の向上、想像力の向上、健康な身体を維持するために、睡眠時間は、しっかりと確保しましょう!

前述しましたが、以上の情報は、私が今まで読んだ本を中心にまとめたものです。よければ、「睡眠の本紹介」を、ご覧下さい。

また、読んだ本の中でも、お勧めの睡眠関連の本もあります。睡眠について気になるという方は、「睡眠についての本~お勧め7選」を、ご覧下さい。

良い睡眠をとるには、どうしたら良いのか?ということに関しては、本ブログで、いろいろ検証しています。よければ、「睡眠の検証」をご覧下さい。

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