私は、今まで介護現場で、1000人以上の方を、リハビリしてきました。その中で、リハビリを卒業されていった方は、実は少ないです。もちろん、先天的な病気や重度の方が卒業するのは難しいかもしれません。しかし、卒業できる可能性があるのに、現状を受け入れている方が、多くみえます。卒業できる方と、卒業できない方の差は何でしょうか?私が関わってきた、卒業生の方に共通する点を考えました。
ずばり、「やる気!」です!
やる気がある方は、他の方と比較すると、身体が良くなっていくスピード(リハビリの効果)も明らかに異なります。自分なりに、症状を分析し、自分でリハビリを行いながら、私たちリハビリスタッフに、もっと良い方法はないのか?ということを聞いてくる方々が、卒業していきました。
基本的に、6か月経過すると、症状が落ち着くと言われます。しかし、卒業していかれた方々は、6か月の壁を越えて、100%の身体の状態とは言えませんが、社会に戻られていきました。「治らない」「現状維持」と言われたとしても、社旗復帰は可能かもしれません。社会に復帰しようという「やる気」さえあれば、未来が変えられる可能性があるのです。
しかしながら、「やる気」を出すために、健常者(セラピストや家族・友人)から、いろいろ言われても、「あなた達に言われたくない」「私の気持ちなんか分からない」となってしまう可能性が高いです。
周りのサポートも大切ですが、「やる気」を出すには、やはり本人次第ということになります。
やる気を失っている方には、人から言われるより、自分から「やる気」を見つけた方がモチベーションの維持にも繋がります。きっかけを作るのは難しいかもしれません。しかし、周りの人もやれることがあるかもしれません。
元々、本が好きな方には、私は、本をお勧めします(下記でお勧めの本を紹介します)。ただし、人から読めと言われると、読みたくないものです。そこで、工夫が必要です。例えば、病院の図書コーナーの目につく所に置いておく。見舞いの品(暇つぶしの書籍)の一部にまぎれさせておくなどが考えられます。
本人が「やる気」を自分から出せるようにサポートしていくのが、周りの方にできることだと思います。では、やる気が出せそうな本を紹介していきたいと思います。
100%前向き思考-生きていたら何だってできる!一歩ずつ前に進むための55の言葉
著者 猪狩智花
仮面女子というアイドルグループに所属されている方の書かれた本です。著者は不運な事故にあい、半身不随になってしまっています。脊髄損傷になった時点で、アイドル引退という流れになるのかと思ったら、現役続行という選択肢を選ばれています。もちろん、周りの支援があってこそではありますが、続けるには、本人の意思が必要不可欠です。有名人という立場上、芸能活動続行に対し、誹謗中傷を受けることもあったようです(病気で傷ついている方を、さらに気づつけるなんて許せませんよね)。生活スタイルが、全く変わってしまった状況でも、前向きに生きていこうとする姿が、とても素晴らしいと思います。タイトルの通り、前向きに生きていくために必要なことが書かれています。障害を負った方でなくても、勇気づけられると思います。
本書とは関係のない話を1つします。最近、脊髄損傷の方が歩けるようになったという研究をみかけました。まだ、実験段階らいしいです。しかし、実現すれば、多くの脊髄損傷の方が救われると思います。今後の医療の進歩に期待したいところです。
脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出
著者 鈴木大輔
41歳という若さで脳梗塞になられたルポライターの方の本です。若いから治りが良かったわけではないようです。文中には、あまり多く語られていませんが、リハビリ以外の時間にも、ご自身でリハビリを頑張られていたようです。ご自身で症状を分析して、それに合った解決方法を考えてみえます。当事者にしか分からない事も多く、理学療法士である私も、勉強になりました。100%治ったわけではありませんが、社会に復帰して活躍されています。病気になったからこそ、世の中に伝えられる事がある。現状を、前向きにとらえて、生きている方は、見ている方も応援したくなってしまいます。
リアル
著者 井上雄彦
マンガです。「スラムダンク」や「バカボンド」など、有名な作品も多いので、著者の事を知ってみえる方も多いのではないでしょうか?心身ともに傷を負っている状態で、文字なんて、読む気にならないという方にお勧めです。障害者の車いすバスケの話です。病気や不慮の事故で、身体に障害を負った登場人物の苦悩が、リアルに描かれています。苦しみながらも、生きる希望を見出していく姿に、感じ取れるものも多いと思います。現在は、15巻まで発売されています。
以上が、お勧めの本になります。少しでも、「やる気」をもち、リハビリ効果を最大限出し、多くの方が、卒業(社会復帰)して頂けたら、私としても、とても嬉しいです。
理学療法士という立場は、リハビリを受ける方に対し、元気づける立場にもあります。もし、理学療法士の方でも、上記の本を読んだことがないという方がみえたら、ぜひ読んでほしい本でもあります。
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