高齢者は睡眠時間が少なくても危険はないのか 適切な睡眠時間を考える

私は、睡眠関連の本を20冊以上読んでいます。読んだ本に関しては、「睡眠の本紹介」を、ご覧下さい。得た情報を元に、私なりに考えをまとめました。今回は、高齢者の睡眠時間についてです。

先に結論を述べると、高齢者の睡眠時間は、少なくても問題があります。

問題がないという意見を聞くと、安心できるかもしれません。精神的には良いと思いますが、放っておいて良い問題ではありません。その理由を説明していきます。

歳をとったら睡眠時間が短くても良い?

高齢になったら、睡眠時間は短くても良いという意見があります。確かに乳幼児の頃と比較すると、年を重ねるごとに、睡眠時間は減っていきます。個人差はあると思いますが、大人の適切な睡眠時間は7時間~8時間程度と言われています。これは、本ブログの「必要な睡眠時間は何時間か?」で、なぜその時間が必要かを書いているので、よければ、ご覧下さい。

歳をとるたびに睡眠時間が短くなっていくのであれば、高齢になると、さらに短くなるのは当たり前。そういう意見が出てくるのも分かります。(そもそも、なぜ睡眠時間が短くなるのかについては、後述していきます)

しかし、高齢者の睡眠時間について、「睡眠こそ最強の解決策である」の著者マシュー・ウォーカー氏も問題がある述べています。高齢になったら、骨が弱くなって骨折しやすくなるので強くしなければいけない。つまり、骨粗鬆症対策は誰でも取り組みます。骨は問題があるのに、睡眠は少なくなっていいのでしょうか?いいわけがありません。

なぜ歳をとると睡眠時間が減るのか?

加齢とともに、睡眠時間は少なくなっていきます。これは、副交感神経の減少が影響していると考えられます。自律神経(副交感神経)については、本ブログの「自律神経のバランスを整えるだけで体調不良が減る」を、ご覧下さい。

自律神経は、規則正しい生活をしていれば、乱れる可能性は低いです。寝られない、寝つきが悪いなどの睡眠障害を訴えられる方は、若い頃から、自律神経を酷使してきた方が多いのではないかと思います。副交感神経を増やすことはできないと言われているので、これ以上、自律神経が乱れないような生活習慣にしていくことが大切だと言えます。

睡眠時間が短いと寿命が長い?

日本は長寿大国です。寝る間も惜しんで働いてきた世代が、現在長生きをしています。そこで、睡眠時間が短いから、寿命が長いのだという意見があります。確かに、他国と比較すると、日本人の睡眠時間は圧倒的に少ないです。しかし、寿命が長いのは、本当に睡眠時間だけの問題でしょうか?寿命の長さは、運動や食事など、日頃の生活習慣が絡んできます。睡眠時間の短さだけで寿命の長さを判断するには、データが不足していると思います。

今回、新型コロナウイルスが、世界中に蔓延しました。世界で多くの方が亡くなった中、日本は死亡率が極端に低くなりました。これは、世界と比較すると、日本人が公衆衛生をしっかりと守り、健康に対する意識が高かったからではないかという意見があります。つまり、睡眠時間が短いから長生きしているのではなく、日頃から公衆衛生と健康に気をつけているからではないかと考えられます。

また、寿命には、健康寿命というものがあります。私達が欲しいのは、健康寿命のほうです。単純に寿命が長ければ良いというものでもありません。睡眠不足は、様々な病気の原因になります。

睡眠が足りないと病気になる

睡眠不足は、身体の様々な部位に負荷をかけます。そのため、様々な病気を引き起こします。

心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、癌、うつ病などの精神疾患、認知症など、睡眠が足りている人と比べて、そのような病気にかかるリスクが高くなると言われています。

睡眠不足が原因で生じる病気について、詳しく知りたい方は、マシュー・ウォーカー氏の、「睡眠こそ最強の解決策である」を読むことを、お勧めします。他の睡眠本より、かなり詳しく書かれています。

夜寝られないけど、昼に寝られているから大丈夫?

「夜に寝られないので、その分、昼に寝ているから大丈夫」といってみえる方がみえます。適度な昼寝は健康に良いと言われています。しかし、何でも適度が大切です。1時間以上の昼寝は、認知症のリスクが高くなるという研究もあります。また、昼寝が多いということは、体内時計が乱れる原因にもなります。下手をすると、昼夜逆転になるリスクもあります。結果として、睡眠薬に頼らないと寝られないということになります。昼寝は30分程度にして、できる限り起きていることが、夜に寝られないという症状を軽減する方法になると考えられます。

睡眠薬に頼れば良いのか?

睡眠薬に頼るのも悪くはないですが、根本的な解決にはなりません。そもそも薬なので、副作用も気になるところではあります。医師によっては、認知機能の悪化を気にして、あまり積極的に出されない方もみえます。

まずは、寝られない理由をみつけ、解決していくことが大切になります。まずは、自分自身の不眠が、どのような状態なのかを把握する必要があります。ご自身の不眠の状態を確認したい方は、本ブログの「自分自身の睡眠障害は、どれかを把握する」を、ご参照下さい。

睡眠時間を増やす工夫

不眠症の種類によって対応は変わってきます。

入眠障害の方は、ストレスが原因の可能性が高いです。ストレスケアについては、本ブログの「ストレスケア」を、ご覧下さい。ストレスはないけど、寝つきが悪いという方は、本ブログの「寝つきが良くなる」を、ご覧下さい。ちなみに、個人的には、ラベンダーがお勧めです。

中途覚醒・早期覚醒は、体内時計などのリズムが崩れていたりする可能性があります。体内時計を治すには、体内時計について知っておく必要があります。本ブログの、「体内時計を管理してパフォーマンスを最大化」を、ご覧下さい。

熟睡障害(睡眠時無呼吸症候群)などの症状がある方は、医療機関への受診を、お勧めします。

まとめ

・高齢者は、睡眠時間が短くても大丈夫と言われると安心します。しかし、健康寿命を延ばしたいのであれば、適切な睡眠時間の確保が必要です。睡眠薬に頼るのは最終手段にして、まずは身の回りでできることを試していくことが大切だと思います。睡眠に関して、本ブログでは、「睡眠の検証」で、いろいろな方法を試しています。あなたの体質に合うものがあるかもしれないので、よければ、参考にしてみて下さい。

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